皆様、明けましておめでとうございます。
2009年がいよいよスタート。皆様はどんなお正月を過ごされましたか?
さて、今年のワインツリーの一番の抱負は、もっと皆様にオーストラリアの「グラニットベルト」で出来るワインについて知っていただく事。
豊かな味わいは勿論の事、どうやってこの味わいがうまれるのか、どのようにブドウが栽培されているのか、そのブドウをどうやってワインにしているのか、各ワイナリーのこだわり、ワインへの思い・・・
グラニットベルトのワイナリーをとことん歩き回って、見て、味わっているワインツリーだからこその情報や、現地の空気、そしてワインの味に隠されている努力などを、今年もいろんな角度から皆様にお伝えしていきたいと思っています。
そして1口でも味わっていただきたい。
それが2009年のワインツリーの抱負です。
まだまだ日本の市場では新米選手の「グラニットベルト」のワイン達です。
大手酒類メーカー輸入ワインのように、どこでも買える便利さはありません。でも、現地の栽培家やワインメーカーが汗水たらして丁寧に造ったワインを、日本ではワインツリーが大切に皆様にお届けしています。
グラニットベルトについてのご質問、ワインについてのご質問があれば、お知らせ下さい。
また、ワインツリーへのご要望やご希望があれば、是非お知らせ下さい。
日本で「グラニットベルト」を一番良く知っているのはワインツリーという自負のもと、素早くご質問やご要望に応えさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ワインツリースタッフ一同
2009.1.6[Tue]
引き続きピクニックワインについて。
今日はピクニックレッドをご紹介します。
ワインツリーの人気商品のひとつ。
それがこのピクニックレッドです。
この商品は実に不思議なワインで、とても幅い広いお客様から「これ好き」あるいは「面白いね」と言っていただけるワインです。
例えばワイナリーに行き「よし試飲するか」という時になって、よく聞かれる質問、それは「甘口が好きですか?それともドライ?」。つまり甘口が好きな方には甘口を、ドライな味わいが好きな方にはドライなワインを薦めるのが効率のよい方法。
もちろん殆どのワイン愛好家の方は全部をお試しになりますが、それでも好みは分かれるところ。
逆に言えば、甘口好きな方はドライワインを「あんな渋いのはちょっと苦手で・・」、ドライ好きな方は甘口ワインを「甘ったるくてどうもなぁ」というのが多い反応なのです。
ところがピクニックレッドに関しては、甘口が好きなお客様は「ワインらしい渋みもあるけど、これは口当たりがよくて美味しい」という感想が多く、さらに面白いのがドライが好きな方も「甘いのに、けっこうしっかりしてるな。甘ったるくないし、タンニンもちゃんと感じるのにびっくりだ」と言っていただく事の非常に多い事。
甘口派もドライ派も「これなら美味しい」ピクニックレッド。
ストライクゾーン広いんです。
では、その秘密はなんでしょうか。
まず、最初の秘密はブドウ品種。
ワイン業界人も「へぇ、そんなブレンド!さすがオーストラリア、面白い」と驚いたそのブレンド品種はオーストラリアの代表品種「 シラーズ」と「ミュスカ」。
グラニットベルトのシラーズからは濃くてたくましく、黒胡椒のすっとした風味が感じられる余韻の長いフルボディーのワインがつくられる事がほとんどです。
一方「ミュスカ」はいわゆる「マスカット」。
そう、これは黒ブドウと白ブドウのブレンドワインなのです。
ピクニックレッドのしっかりとした骨格と気持ちよく主張するタンニン分はシラーズから来るもの。
しかしタンニンを出し過ぎないために、ブドウの果実をソフトプレスしているから、タンニン分もあくまでソフト。さらに糖度の高い完熟シラーズを使用しているため、力強いブドウの風味がプラス。
そこにミュスカの爽やかな酸味と甘味がブレンドされて出来上がったのが、このピクニックレッドです。
完熟ブドウと甘みのあるブドウ品種のブレンドだから、アルコール度数も13.5度としっかり。
口当たりがよいのに飲みごたえのあるワイン、それがピクニックレッドです。
一口飲んでみたくなりませんか?
2008.12.26[Fri]
せっかくなので、前回に引き続きピクニックワインについて。
ピクニックワインは、甘口のワインです。
甘口のワイン・・と聞いて思い浮かべるのは、貴腐ワインや、アイスワイン、ポートワインなどの酒精強化ワインではないでしょうか。
貴腐ワインやアイスワインは、カビの付着や氷結によってブドウ果実の水分が蒸発し、果実の中の糖度がぐんと高くなった状態で醸造をする方法。
ブドウ搾汁に含まれる糖度が通常のブドウより2倍〜3倍高いため、酵母の活動が抑制され、発酵が終わっても残存する糖分が多く、とろりとした贅沢な甘味がワインの中に感じられるようになります。
度数も幅はあるもののやや低め。6%〜10%前後のものが多いですね。
甘口の酒精強化ワインは、ブドウ搾汁の発酵中のブドウ搾汁にブランデーなど度数の高いお酒を添加して、糖分をアルコールへ変える酵母の働きを止める事で造られます。
なんともいえないこっくりした風味、高めの度数(約16%〜22%)が特徴のワインです。いずれもデザートワインとして愛されています。
ブドウの水分を蒸発させたり、アルコールを添加せずにワインの中に糖分を残し、甘口のワインを造る代表的な方法には、発酵途中のブドウ搾汁の温度を下げて、酵母の活動を止める方法があります。
アルコール発酵を抑える事でワインの残存糖度をあげ、飲みやすい甘口ワインができるのです。しかし途中でアルコール発酵を止めるため、どうしてもアルコール度数は低くなりがち。
ワインを飲み馴れた方が「甘口はちょっと・・・」と言われる理由の1つは、このアルコール度数の低さにあるのかもしれません。
さて、問題です。
ピクニックホワイトとピックニックレッドの度数。
一体何度だと思われますか?
実は、フルボディーのドライワインと同程度の13.5度なんです。
甘口で飲みやすい。なのにしっかりした飲み口。
少し興味がわいてきいませんか?
長くなってしまったので、続きはまた明日。
2008.12.24[Wed]
先週の水曜日、グラニットベルト産のワインの美味しさを知っていただこうと言う事で、オーストラリアクイーンズランド州政府日本事務局で、一般のワイン愛好家の皆様をお招きして試飲会を行いました。
当日は朝から雨模様で少し心配していたのですが、開始時間とともにお客様が続々いらっしゃって下さいました。
ワインツリーのワイン達の試飲会は東京エリアでは初めての事。
皆さん、興味を持って質問してくださり、それぞれのワインの味の違いに驚いてくださったり、じっくりゆっくり時間を過ごしていただく事ができました。
オーストラリアの小さな田舎に知られていないこんなワインがあったのかという楽しさと魅力を感じていただけていればこれ程嬉しい事はありません。
さて、今回もワインツリーの商品の中で一番人気だったのが、ピクニックホワイトとピクニックレッドのやや甘口ワインです。
「一番最初に飲むワインがこれならワインが嫌いにならなそうだから」と今度20歳の誕生日を迎えられる息子さんと一緒に飲もう・・とお求めになってくださった優しいお父様もいらっしゃいました。
シンプルに「これ美味しい」「飲みやすいね」「面白いね」と言って下さるお客様の多さに、あらためてこの2種類のピクニックワインの優しい味わいの実力を実感する事ができました。
しかし面白い事に、実はその次の日。
ワイン業界関係の方が集まる会に、試飲会でご好評いただいたピクニックレッドを持参した所、正直に言ってしまうとちょっと評判が悪い(笑)。
「業界で俺を知らないのはもぐりだ」とおっしゃるとあるテイスターの方などは(どうやら私はもぐりですね(笑))、口に含むなり「ダメだね」とピシャリ。
ダメと思う理由についてははっきり教えていただけなかったのですが、なんとなく一般のワイン好きのお客様の反応と、ワインに肩までどっぷりと浸かったご自身曰く「リアルワインパーソン」であるその方との反応の差を興味深く拝聴させていただきました。
でも、ピクニックワインは美味しいんです。
そして、ちょっと今までにない面白さがあるんです。
なぜなら、多くの人が好きなワインだから。
多くのワイン好きな人が好きだと言って下さるワインだからです。
「こういうワインに会えて良かった」と言ってもらえるワインだからです。
そして、実際に何ヶ月もかけてこの目で追った、畑で奮闘する栽培の様子、ワインを造っている人達の真剣な顔や、造られている醸造の現場を思い返してみると決して「ダメ」と言い捨てる事などできないワインでもあります。
もしかしたら、思い入れが強すぎるかもしれません。
業界では「それじゃ売れない、儲からない」かもしれません。
でも、私も一人のワイン好きとして、このピクニックワインは自信を持っておすすめ出来るワインなのです。
ワイン好きやワインパーソンという定義は何で測りましょうか。
経験?資格?飲む頻度?飲む量?プロかどうか?
しばらく考えてみたいと思います。
ちなみに、業界の方でも「面白いねえコレ」と言って下さった重鎮の方がいた事、フルボディーの赤がやはり多く支持されるなか、ちゃんとボトルの中が空になっていた事も書いておきます♪
試飲会に来て下さった多くの方々、どうも有り難うございました。
引き続き、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
2008.12.20[Sat]
グラニットベルトで造られるワインがプレミアムワインになる理由は、すでに紹介した通り、その標高の高さと土壌。
ではその標高の高さがもたらす気候を見てみましょう。
グラニットベルトの気候を表現すると「温暖で湿潤な春と夏、乾燥した秋、ものすごく寒い冬」です。特に冬の寒さはさすが海抜1,000mの地域、マイナスを記録する事も珍しくはありません。
しかしこの春夏秋冬それぞれの四季がしっかり別れている事も特徴の1つ。
日本では当たり前の四季の情緒も、広大で平坦な土地が大部分をしめるオーストラリアでは珍しく、はっきりと四季を感じられるという事はブドウにとっても、その成長サイクルを営む上で非常に大事なのです。
ブドウの1年のサイクルをわかりやすく収穫期を終える晩秋から見てみましょう。
晩秋 :収穫を終えブドウの葉が落ちる
冬 :葉を落とした枝の剪定。休眠。
春 :剪定した枝から若い芽が出て、枝が伸び始める。
春-夏 :枝が長くなり、ブドウの花が結実する。
晩夏 :実が熟し始める。実の中で糖分・風味・色素が上昇する。
秋 :新しいヴィンテージ(収穫期)が始まる。
さて、「湿潤な春・夏、乾燥した秋、寒い冬」というグラニットベルトの気候。なぜブドウの成長サイクルにとって良いのでしょうか。
ブドウに限らず、植物の成長期には雨が必要です。
オーストラリアの多くの産地では夏の干ばつに苦しめられる所が多くあるりますが(オーストラリアでは灌漑が許されていますので、深刻な被害に直面する事は避けられますが、しかし同時に用水コストという面では、商品価格に跳ね返ってしまう事も事実です)、グラニットベルトには春から夏にかけて、適度に雨が降ります。
またそのせいで日照があがりすぎる事なく、収穫期の実の中の糖度があがり過ぎず、適度な酸度が保持されます。
しかし標高の高さゆえの紫外線の強さが風味をぐんぐんあげるという状況もそろっていて、植物の成長メカニズムの不思議を感じてしまうのですが・・・
しかし、いったん成熟期間を迎え、収穫期を待つ状況になると、一変して、雨は招かれざるモノに早変わりします。なぜか。
収穫前のブドウに、雨が降ると水ぶくれをおこし、その風味がぶよぶよと薄いものになってしまいます。また繁った葉の内部に湿気が溜まりすぎると、ブドウの垣根に病気が広がる原因となるからです。
つまり乾燥した秋というのは、収穫期を向かえるグラニットベルトのブドウにとって、健康な実を結び、美味しいワインを造る最高の条件なのです。
また、寒い冬は人間もなかなかベッドから抜け出せないもの。
ブドウも同じ。この凍りつくような冬の間にぐっすりと深く休眠する事によって、次の春からの芽吹きの為のエネルギーを溜め込みます。
次回はブドウの成長過程をもう少し詳しく見たいと思います。
2008.12.11[Thu]
ブドウに限らず、植物の生育には特定のミネラルが必要とされますが、その代表的なものがカリウム、リン、窒素です。
ブドウの場合、地中のカリウムは、果実の糖度、酸度に影響を及ぼします。
リンは光合成の働きを活溌にさせますし、窒素化合物は、化学肥料にも多く含まれる事からわかるように、枝葉を繁らせる栄養分として働きます。
地中にはこれら3大要素以外の、微量要素と呼ばれるその他のミネラル分が含まれており、それらの補助的な働きによっても、ブドウの樹や果実の個性が左右されると言われています。
しかし、水耕栽培がいい例ですが、極端な事をいってしまえば、この3大ミネラルのみで植物は生育する事が可能で、微量要素の存在がどれほどブドウに影響を与えるのかは、まだはっきりとわかっていません。
ところで、グラニットベルトには生態学的にみると、地域固有の植物が多く見られる地域としても知られています。
例えば、自生する70種類以上のユーカリの樹のうち、3分の1はこの地域特有のもので、この地域の土壌の豊富なミネラル成分が特有の植物の生育を可能にしているのでは、と言われています。
地域南部の国立公園では、グラニットベルトの水源を見る事が出来ますが、地中のミネラルや植物エキスが溶け出していて、透き通った茶色をしているのが見て取れます(肌を柔らかくする効果もあると信じられていて、泳ぐ人の姿もよく見られます)。
地下水脈にとけこんだ、微量要素がブドウの風味に直接的な影響を与えているかどうかは定かではありませんが、「テロワール」という便利な言葉を使うならば、これらの微量要素もグラニットベルトの「テロワール」を造り出す要因のひとつだと言えるでしょう。
2008.12.5[Fri]
届き立てほやほやの最新ニュースが入って来ました。
昨日(11月27日)、オーストラリアのワイン情報雑誌「ワインエステート」の創刊30周年の記念パーティーが、南オーストラリア州アデレードで行われました。
そのパーティーのハイライトといえるのが、オーストラリア全土から選りすぐられ集められた約10,000にも及ぶワインをブラインドテイスティングした結果の発表と表彰なのですが・・・
自分の名を呼ばれるのを待ち構えている、オーストラリア南部のいわゆる常連ワイナリーや、それらの有名ワイナリーファンの出ばなをくじいたのは、ずばりクイーンズランド州のグラニットベルトのワイン。
そしてパーティーが終わった後にも、彼らはグラニットベルトのワインがトロフィーを持って、飛び跳ねて帰る様子を悔しい思いで見送る事になります。
ではその結果発表といきましょう!!
見事に本年度の「ワイン オブ ザ イヤー」に輝いたのは、
グラニットベルトから選出された、
ヘリテージエステートのシャルドネ2007。
この賞は赤ワイン、白ワインの区別なく、全てのワインの中から選ばれる賞。13年続くこの賞で白ワインがトップを獲得した事は初めて。そして今までこの地位に輝き続けたオーストラリア南部のワイナリーが、クイーンズランド州のワイナリーにこのトップの座を明け渡したのも初めての事。
しかし近年のワインショーの動向を見ていると、グラニットベルトのワインが、下馬評を覆し、見事トップに輝く事が増えているのも事実なんです。
さらに、このヘリテージエステートのシャルドネ2007は、「オーストラリアとニュージーランドのシャルドネ部門」でも見事トップに輝きました。
ヘリテージエステートは、グラニットベルトのサミット地区にあるワイナリー。ここの若きワインメーカーのジョンは全国レベルのワインショーでも評価されはじめた、グラニットベルト新進気鋭のワインメーカーです。特に白ワインはフレッシュかつ豊かな味わいをしていて、実はワインツリーでも入荷を検討しているワイナリーのひとつです。
このように、グラニットベルトは最近になってようやく実績にともなう名声を着実に得始めているように感じます。
「オーストラリア北部のワイン首都」・・・これは今年の初めにワインビジネスマガジンが記事の中で、グラニットベルトを評してつけた名前。
「グラニットベルト」ちょっと気になってきませんか?
2008.11.28[Fri]
グラニットとは花崗岩の事。
グラニットベルトの名前が示す通り、この地域を構成している土壌は花崗岩の特色を帯びています。
花崗岩土壌としてよく知られているのはボジョレー地区。
グラニットベルトも同様に、何千年にもわたり成形された地殻岩石上に土壌が形成されています。
地層を見てみると、上から砂岩質土壌、ローム質を帯びた砂岩質土壌、砂岩質を帯びたローム質土壌、そして少しの粘土質土壌を見る事ができます。
この砂岩質の成分はワイン産地でもあるフランスローヌ地方とも類似していると言われています。
このような地層は通気性に優れ、水はけが非常に良いのと同時に、下層部では適度な保水性を持つため、ブドウは水分を求めて地中深くまで根を伸ばす事が出来ると言われています。
「グラニットベルトの標高」の中でも触れましたが、グラニットベルトではブドウをゆっくり長い期間をかけて果実中の風味をあげる事ができます。しかしその一方で、天候や害虫、病気を心配しなくてはいけない期間も長いという事です。
花崗岩土壌の土地には、あまり栄養分が含まれまれていません。
つまり、枝葉の繁り過ぎを抑え、風味が凝縮された果実を育てる事が出来ます。同時に、通気性に優れた健康的なブドウ棚を作る事ができ、病気やカビの発生を防ぐ事ができるメリットがあります。
気候条件と加えて、この土壌条件はグラニットベルトがプレミアムワインを造るのに、非常に適していると言えます。
2008.11.27[Thu]
前回のコラムにて、今年2月にバルセロナで行われた「地球温暖化とワインに関する世界会議」での発表について取りあげましたが、タイミングを同じくしてクーリエ・ジャポン12月号にも、同内容の記事が掲載されています。
クーリエ・ジャポンの特集「知って得する世界のワイン新常識」の中に、「世界の温暖化で変わるワインの新世界地図 - 影響を受けにくいのは『南半球』・・・」というその記事を見つける事ができるのですが、その記事の中でも述べられているのが、ワイン新世界地図とで台頭してくるのが、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンなど南半球の国の海抜高度の高い地域だという事。
今後の気温変動の影響で、ワイン産地およびワインメーカーが考えなければならない、選択肢にはいくつかありますが、クーリエ・ジャポンの中であがっているのは以下の3つ。
1:気候の変動にあわせて栽培するブドウの品種を変える事
2:灌漑などの新しいテクノロジーを導入すること
3:同品質のワインを造るために、新しい場所にブドウ畑を持つこと
ブドウ樹の栽培が数十年をかけて行われるのを考えると、ブドウ品種を変える、またそれによりブレンドを変更する、というのは栽培家、醸造家どちらにとってもハードルが高いと言えます。
何よりも、ワイン法によって栽培品種が決められているブルゴーニュのような場所では、法が変わらない限り今後、気温変動によってアルコール度数だけが高く、補酸が欠かせないワイン造りを続けるしか方法はありません。
また、新しいテクノロジーの導入についても、ワイン法と伝統、そして消費者のロマンチックな期待が立ちはだかります。
と、なれば残る方法は1つ。
今後、気温変動によって新しくワイン産地地図をぬりかえるだろう国の畑に投資する事。
クーリエ・ジャポンの記事には、著名なワイン醸造家やシャトーが次々と南半球に投資をし出している事、あの醸造コンサルタントのミシェル・ロランも海抜高度の高いブドウ畑への投資を忘れてはいない事も。
さて、新しいワインの理想郷としての条件を考えるとき、グラニットベルトはその条件をほぼ完璧に満たしています。
詳しくは11月13日のコラム、そしてクーリエ・ジャポンを同時に読み進めるのも、面白いワイン知識の楽しみ方かもしれません。
クーリエ・ジャポン12月号http://blog.moura.jp/courrier/2008/12/10/
2008.11.22[Sat]
前回は、グラニットベルトの特徴である標高の高さについて触れました。
標高の高さゆえの冷涼な気候が、グラニットベルトのワインにこの産地が誇る風味の高さを与えています。
では、なぜこの標高の高さ、そして冷涼な気候をしているグラニットベルトが注目されているのか。
気候変動がワイン産業に与える影響について、生産者や科学者らが話し合う国際会議が、スペインのバルセロナで開かれたのは、今年の2月15日。
その中で、「温暖化の結果、すでにほとんどのワイン産地でブドウの収穫が以前よりも10日早まっている」と、フランス国立農学研究所のサガン研究部長が発表し、温暖化の影響でワインが大打撃を受けると予測された、とのニュースがありました。
さらに別のニュースでは、温暖化の影響でニュージーランドの寒冷な産地のブドウから、以前に増してより味わい深いワインを生産する事が可能になりつつあり、ニュージーランドでは国をあげてそのPRに余念がない、とも。
ブドウというのは、気温が高ければ高いほど、早く熟します。
気温があがらないとブドウの中の糖度はあがりません。一方、ブドウの中の風味は、温度に関係なく時間が経てばたつほど高まります。
つまり、糖度の上昇(=温度の上昇)が急激すぎては、風味を上昇させるための十分な時間がとれません。
骨格がしっかりとして味わいに厚み・深みのあるワインとは、糖度と風味の両方を含み、バランスを取り合っているという事。
各地のワイン産地で収穫期が10日も早まっているという事は、風味上昇にかける時間が10日不足する状態に陥りつつある、という事でもあります。
反対に、ニュージーランドの例では、十分な気温がなかったために、糖度の不足したブドウしか栽培できなかった所でも、充分な糖度が含まれるブドウを育てる事ができつつある、ということ。
つまり、温暖化によって、今まで伝統的に名声を得てきた産地と、そうでない産地との間で、「ブドウ熟成のための理想的な気温と時間」という条件から見た場合の逆転現象が起きているわけです。
標高が高く、涼しい夏、冷え込む秋というグラニットベルトで造られるワインは、「温暖化」という視点から見た場合にも、プレミアムワインを生み出す産地として、非常に整った気候条件を備えていると言えるのです。
2008.11.17[Mon]
グラニットベルトのブドウからプレミアムワインが造られるわけ。
その一つの要因は、オーストラリアのワイン産地には珍しい、以下のようなユニークな要因があわさった気候にあります。
・ はっきりとした四季
・ 1年を通して冷涼
・ 昼と夜の寒暖の差
・ 降雨量の高い春先、雨の少ない秋
これらの気候条件に大きく影響しているのが、この地域が標高約725m〜1,250mという高地に位置し、さらに地域全体がなだらかな山脈の尾根斜面に位置しているという立地条件です。
標高が高くなるほど、気温は冷涼になり、空気中に含まれる二酸化炭素の濃度が下がるため、光合成のスピードは遅くなります。
つまりブドウがゆっくりと成熟し、果実中に風味をより多く蓄える事が可能になるという事。
また、標高が高いと紫外線量も多くなるので、果皮に含まれる色素・タンニンが高くなり、特に赤ワインの色合いと味わいの骨格がしっかりとしたワインになるブドウが育ちます。
山間部という地理条件もまた美味しいブドウを育てる条件。
山の傾斜がうみ出す昼と夜の寒暖の差により、昼間は暖かい気温が光合成を促進させ成熟を早く進める一方、夜の冷え込みが、夜間の呼吸活動を抑えるため、本来であれば夜間の呼吸の際に消費されるリンゴ酸が、そのまま収穫期まで実の中に残ります。
つまり、収穫時のブドウには糖度と酸味、そして風味成分、
全てが高く含まれていて、より複雑味のあるワインを造る事ができるのです。
圧搾したぶどう果汁への補糖と補酸、どちらも許されているフランスワインなどと違い、オーストラリアワインには補糖が許されていません。つまりオーストラリアワインにとって十分な果実中糖度の確保は必要不可欠。
一方で、日射量の高いオーストラリアではしばしば糖度が急激にあがってしまう事で、果実中酸度が不足したり、風味成分をあげるための十分な成熟期間を待てない、という事が起きることも。
しかし、先に述べた理由によって、グラニットベルトで栽培されたブドウの糖度と酸度のバランスは非常に優れており、補酸する必要もなく、穫れたブドウを圧搾した果汁そのままに、ワインが造られる事がほとんどです。
降水量も重要な要因。
春先の雨はブドウの開花を促す一方、実が色づく頃から収穫期にかけて乾燥する夏〜秋の気候は、実の質を向上させ、水ぶくれやカビ、病気の発生をおさえます。
このように気候条件を見ると非常に高品質なブドウが栽培されているにも関わらず、その名がオーストラリア以外で未だ知られていないのは、主要都市からの距離や交通の便、またはマーケティング活動への資本力など、ワインの質以外の原因に他ならないと思えてなりません。
また、温暖化の影響で世界のワイン地図が書きかえられようとしている今、この高度1,000mエリアが注目されています。
美味しいさの理由はもっとたくさん。
こちらもチェックしてみてください。グラニットベルト産地情報
2008.11.13[Thu]
昨日お伝えしたように、いよいよグラニットベルトのワインが日本で上陸しました。最初の一歩は小さくてもワイン愛好家の未来にとって大きな一歩になる事を信じて頑張ろう!とスタッフみんなで鼻息を荒くしているワインツリーです。
さて、また詳しくお伝えしようと思っていますが、グラニットベルトがあるオーストラリアスタンソープ郡は、日本に姉妹都市があるんです。
それが岩手県紫波郡紫波町(しわ町と読みます)。
紫波町も果樹・野菜栽培やワイン産業が盛んな事が縁になって、姉妹関係を2002年より結び、様々な文化交流や技術交流が行われています。
グラニットベルトワインの販売開始に先立ち、姉妹都市のご縁に甘えて紫波町で2日間にわたり開催された「産業まつり」にブースを出させていただきました。
その時の様子は岩手でもNHKの朝のニュースや岩手放送ラジオ、新聞(でも取りあげていただいたのですが、その時の様子をオーストラリアの新聞も取りあげてくれたので、早速ご紹介。
2日間で約3万6千人の人出を記録するという大成功な催しでしたが、ワインツリーの試飲販売にも多くの方が興味を示してくださいました。そしてさすがワイン醸造への取り組みが盛んな土地だけあって、すごく皆さんの感想がソムリエなみ。ワインへの興味の高さを感じさせられた2日間でした。
ちなみに約1,000人の方が試飲してくださった2日間。
一番人気はこちらの2商品。
メイソンワインズ「ピクニックレッド」
ピクニックレッドはやや甘口の赤ワインですが、シラーズをベースにしているため、とろりと甘いながらもどっしりとした骨太感を味わえるワイン。赤ワインは渋くて苦手という方も「これならまろやかで飲める」、甘いワインは甘ったるくて苦手という方も「甘味の奥にちゃんとワインの渋みや深みを感じられるね」とオールマイティーな能力を発揮。甘口はちょっと・・という方にも食前酒や食後酒に飲みたい、と言っていただいたり、このワインなかなかやります。
ロビンソンズファミリー「カベルネソーヴィニヨン2004」
樹齢40年を超えるカベルネソーヴィニヨンから造られたワイン。
ゆっくりとフレンチ樽とアメリカ樽で18ヶ月間熟成させた、手のかかったワインです。べリーやカシスの香りと風味が口の中で広がり、やがてそこにチョコレートのような味わいが加わります。
しっかりした口当たりなのにソフトでエレガントな印象。
1日目ご購入いただき、さらに2日目にもう1本買ってくださった方が続出。ワイン好きの方のハートをがっちり掴んだのはこのカベルネソーヴィニヨンでした。
グラニットベルトのワインを初めて飲んだ時の太陽を凝縮した味わいと驚き。
いたずらに広告をする事無く真面目に作られるこだわりのワイン達。
この美味しいワインを日本に広める事そして日本とオーストラリアの架け橋になる事が私たちワインツリーの目標です。
2008.11.10[Mon]
さて、前回はオーストラリアワインのラベルに記載される「産地名」が意味する所を見てみました。
オーストラリアの呼称産地は約100あるのですが、グラニットベルトはそのうちの1つ。
もちろんその名を名乗る以上、その産地はその土地の個性(が感じられる優れたワイン産地でなくてはならず、それ故に産地呼称制度G.Iを以てして保護されているとも言えるのです。
では、グラニットベルトという産地。
一体どういう所にあるのか、なぜ美味しいか、どんなテロワールが感じられるのかを少しずつご紹介していきたいと思います。
グラニットベルトはオーストラリアクイーンズランド州。
地図で見ると東側沿岸の丁度真ん中、ブリスベンから約250キロメートル内陸へ入った、ニューサウスウェールズ州との境界に当たる高地に位置しています。その標高は約1,000メートル。
ブリスベンから車で約3時間の道のりですが、車から降り立った瞬間に感じるのは「涼しい!」または「寒ーい!!」
明らかに下界とは違う爽やかな冷涼さ、もしくは厳しい冬の寒さはまさしく高い所に来た事を感じさせられるそんな土地です。
クイーンズランド州産ワインの約64%がここで造られている、州内最大のワイン産地です。とは言っても、オーストラリア全土で造られるワインの約1%。
グラニットベルト内にある約50あるワイナリーのほとんどが家族経営という規模の小ささ、生産高を極力抑えたプレミアムな品質ゆえに、今まではオーストラリア国内、もっと言ってしまうならクイーンズランド州内のワイン通の間のみでひっそり楽しまれているそんなワイン産地。
しかし、そんな美味しいワインに出会ってしまったワインツリー。
そして、グラニットベルトを知れば知るほど、美味しいワインができないわけがないそんな産地だという自信は揺るぎないものになりました。そうなると、日本のワイン好きなお客様に飲んでもらいたいという熱い思いが日に日に強くなってしまったんです。
そこで、グラニットベルト内のワイナリーを何度も尋ね、テイスティングを重ね、時には一緒にワインを飲みつつバーベキューなどを囲んだりする約10ヶ月の準備期間を経て、ついに今月グラニットベルトワイン第一段をご紹介できる運びになりました。
グラニットベルト内で収穫したブドウで、グラニットベルトにあるワイナリーで造られたワインを日本で味わえるのはワインツリーだけです。
少しショッピングサイトを覗いていただけたらとても嬉しい事です。
ワインツリー商品情報
2008.11.9[Sun]
グラニットベルトの情報、そしてグラニットベルトのワインの魅力、なぜ美味しいのか・・・を余す所なく伝えるコラム in グラニットベルトが、今月からリニューアルして再スタートを切りました。
今日からしばらくは、グラニットベルトの基礎知識についてと思ったのですが、その前に。。。
オーストラリアの広さが実に北米や西ヨーロッパ各国がすっぽり入ってしまうくらい広い事をご存知でしょうか?
つまり一言で「オーストラリアワイン」と言っても、ヨーロッパのワインとほぼ同じくらいの気候の多様性、土壌の多様性、品種の多様性、ブドウ栽培・ワイン製造の多様性と細かな個性があるという事。
そんな広大な大陸の中には公的に地理的呼称を認められたワイン産地が100ほどあり、グラニットベルトはそのうちの一つ。
オーストラリアの産地名呼称制度はGI(Geographic Indication)と呼ばれ、フランスのAOCと比較すると、もっとシンプル。
AOCがブドウの生産地域以外に、栽培方法や最大収穫量、最低アルコール度数、醸造方法などの細かい規制の縛りがあるのに比べると、GIはもっとシンプルに「ブドウの出自」を名乗るモノ以外の何ものでもありません。
つまり、ブドウの質以外の様々な規制の縛りによってもワインの味が方向づけられる欧州に比べ、オーストラリアワインにおいてはその地域のブドウの特質がそのまま産地名に現れるといっても過言ではないという事。
例えば、ラベルに「グラニットベルト」などの産地表記がある場合、それはグラニットベルトで収穫されたブドウを85%以上使って醸造しているという事だけがわかります。
(法定上の規定は85%ですが、グラニットベルト内のほぼ全てのワイナリーでは、グラニットベルト産の自家栽培ブドウを100%使用しています)。
しかしGI認可をうけるには以下の項目に対し、高品質なワイン用ブドウを栽培するに値すべし、という細かく厳密な審査基準が設けられていて、簡単に名乗れるわけではありません。
ラベルに書かれた産地名は、「質が高く、その土地の個性を感じられるワインである」証しと自信に他なりません。
では、「グラニットベルト」の名前を冠した産地やワインとは?
次回以降見ていきます。
<*GI決定基準項目>
* ブドウ栽培・ワイン醸造の歴史
* 地質
* 気象条件
* 収穫時期
* 排水状況
* 水源
* 標高
* 地名が伝統的に使用されてきたか。
2008.11.4[Tue]
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